親離れされた記念日

35才で出産した後、色々と前途多難な出来事が降りかかり、決して順風満帆とは言え

ない人生だったから、我が子が二十歳になる年の自分の誕生日は、もっと感動的に迎えるはずだった。。。。。のに、のにのに。2,3日前に夕飯の支度をしていると、

わが子:XX日(マイ・バースデー)友達とご飯行きたいんだけど。

母:はぁ。........で?

わが子:お金がもう無くて、いくらか貸してほしい.....。(常套句)

 

マジか、母のめでたい日に君はお友達とご飯食べに行くのか?

いやいやいや、そう見せかけといて案外ステキなサプライズを用意してくれているのかもしれない。用意しているのかもしれないけれど、不足が生じたために、何かちょっと筋が違うとは思いながらも、いつもの常套句でうつむき加減にお願いして来たのかもしれない。いや、万が一ほんとに出かけるのだとしても親としては無碍には断れず...。結局、学生が”ノン”アルコール外食で困らない程度にいくらか貸してあげた。

 

XX日。

この日に限って残業をしなければならない程の激務をこなし、PCを閉じ、書類をしまい電話なんかが鳴る前にバタバタと逃げるように会社を後にしてから、家の近所のスーパーへ。何せ今日は祝われる日なのだから。明日は有休を取ってある。ビールを買う。麦焼酎を買う。締めのアイスも2つ。

祝われる身分でありながら...と若干しゃくに障りながら、夕飯の支度。ええい、このクソ暑い中やってられない。こなれたオジさんなみに焼きうどんとビールでも良いではないか。フライパンを振っている間も祝ってくれる人間達は帰って来ない。いや待てよ。やはり、我が子は夫と帰り際に示し合わせて、何らかのステキなサプライズを考えてくれているのかもしれない。

そんなこんなしていたら美味い焼きうどんが出来上がり。同じくして夫のみご帰還。

「はいママ。お誕生日だよね。ケーキ買ってきた。ママ、ピスタチオ好きでしょ。ピスタチのケーキ。後でみんなで食べよ。あれ?TTTいないの?」

・・・・・・・・・・・・・。いやぁ、ありがと、ありがと、ありがと。でもねぇ・・・

「それがね、お店に行ったら予約しないとダメとかって言われてね、”えぇ~っ!”って言ってたら、”あっ、キャンセルがあったみたいなんで、チーズケーキと一緒だったらお売りできます”って言われて2個買ったんだよね。ハハハハ。」

ほぉ・・・・・。で、いくら払ったんだ?

「5,500円。ハハハハ。」

 

そうか、だからあなたは先週「お小遣いが無いから、頂戴」と言ってきたんですね。

 

夫と一緒に歌番組を観ながら焼きうどんを食べる。アラ還の夫婦、焼きうどん、昭和歌謡ショー。ぐうの音も出ない。ピスタチオのケーキを食べる。ついでに味比べでチーズケーキも食べる。ビールは飲まない。焼酎も飲まない。